じつは小6までこの職場の近所に住んでたんです。でも、生活環境の変化に対応しきれず、ちょっと離れたところに引っ越しました。いまは情報が溢れていて、なにかと便利になってきたけど、私達の子供時代はなんもなくてね...自然相手に外でいろんな遊びをしたもんですわ。裏の井戸ではスイカを冷やして食べたり、先輩後輩関係なくみんなが仲良かったのが印象に残っています。
家系がそうやったから、自然な流れで職人になってました。まぁ、やることがなかったんかも知れんけど(笑)技法などは専属で誰が教えるというものじゃなく、父や先輩の姿を見て盗んでたからね。
線香やお香作りは「機械化できない」ってところが魅力やわ。なんでかいうたら、基本的には木の皮の物体なんやけど、なかでも粘りや質感が重要で、機械に通すと繊維がつぶれてまう。その繊維がほどよく火をつきやすくしてくれるんやけど、粘りが強いとつきにくい。逆に繊維が目立ち過ぎると燃えてまう。線香ってのは新芽や若葉でねばりの原料を作るんやけど、その分量ってのが手加減でしか絶対に作られへん。その季節や気温によって原料となる新芽たちも水分含んでるやろ?機械にはそこまでの判断はできんわな。人間の勝ちです(笑)
単純な話し、線香を短くしたのがお香ですわ。この業界では長さの単位を寸や尺で計るんやけど、メーカーによって長さが違いますねん。ちなみにあの線香の長さは、坊さんがお経を唱える時間です。
せやねん、線香ってのは昔をさかのぼれば歴史の長いもんなやけど、はじめは漢方屋さんやってん。だから、原料は漢方薬と同じやねん。線香作りではいろんな原料を調合するんやけど、普段は香りを出さずに、火を焼べると香りが出るものを選ぶのが大変やね。
時代にあわせて商品に工夫が必要なんやけど、今は“けむりの少ない線香”が売れてます。日課でご先祖さんにお香を炊く人が好まれて買っていきますわ。だから、60代とか多いけど、若い女性はわずかしかおらんねぇ。
年齢に限らず、基本的にお線香やお香を買うお客さんの目的は“落ちつく”とか“香りが好き”とか言う人が多いですわ。香りは癒しの効果もありますからね。今おもろいのを考えてんやけど「香りでダイエット」とかできんかなと。でも、商品化するのには研究開発が必要なんやけど、他社にお願いするにしても、裏付けとなるデータがいりますねん。ニオイってフェロモンだとか、香水でその時の印象を与えたりできるでしょ?おもろいと思うねんけどなぁ。
も~うバイクは最高やね。YAMAHAレーサータイプの1000ccを転がしてます。これで週末は紀伊半島を攻めにいきますねん(笑)免許取ったのが20代後半と遅かったんやけど、まだまだ若い子らには負ける気がせんね。あとは、バイクが好きやから、海のうえでは水上バイクもやるけど、準備が8で乗るのが2やから疲れますわ。
ですな。でも、娘がおるんやけど「おっさん、やめなはれ」って言うてくるんや(笑)。やめられまへ~んって。バイク乗りは基本的に負けん気がつよいわ。私のバイク仲間は団塊の世代やからとくにかな。人生負け組なんで、そんな時くらいは勝たんとね(笑)。
この堺の地場産業全体を活性化して人もモノも盛り上がっていきたいね。いろいろ内情もあるけど、今やからこそ手を取り合わなアカンわ。ほんで、商品についてはリアルな香りを作っていきたい思うてます。それなら原料もリアルなものを使用せなあかんねんけど、たとえばローズの香り。バラの原料1kgだけで200万というコストがかかってくるから、あまり現実的ではないんやけど、人工的によりリアルな香りをお客様に届けるために日々追求してます。
大変貴重なお話ありがとうございました!
線香作りで調合するための原料。漢方薬も同じ原料。
“花ざかり”を説明する鈴木氏。香りへの想いが伝わってきます。
煙りが苦手!という方には、炭入りの煙りの少ないお線香“草枕”がオススメ。ライフスタイルに合わせて購入者が増えてます。
敷島香本舗
敷島線香株式会社
本社:大阪府堺市堺区香ヶ丘町3-3-6
TEL 072.221.3223
※掲載情報は、取材時点のものです。現在の情報については、直接お問い合わせ下さい。
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